注意欠如・多動症 (ADHD)の子どもを持つ母親と小学校教師に対する意識・実態調査

ADHD の子どもを持つ母親のおよそ6割がADHDと診断されて
「症状の原因がはっきりしてほっとした」と感じていた

ほとんどの教師はADHDが疑われる児童を指導した経験を
持っているが、対応に自信を持っている教師は約4割

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区 代表取締役社長:手代木 功)とシャイアー・ジャパン株式会社(本社:東京都千代田区 代表取締役社長:グレン・スノハラ)は、2016年12月、ADHDの子どもを持つ母親(283人)と小学校教師(103人)に対して意識・実態に関する調査を実施致しました。

注意欠如・多動症 (ADHD)���、「不注意」「多動性」「衝動性」の3種の主症状から特徴づけられている発達障害の一つです。海外の学術論文では、18歳以下でのADHD有病率は約5%*1と報告されています。また、ADHDの子どもへの支援は、個々の育った環境、親子関係のみならず、学校をはじめとする保育・教育の段階からの家庭外環境を含めた全体像を考慮しながら実施することが重要とされています。特に子どもの特性を十分に理解した上で、それぞれに適した家庭や教室環境作りを行うことが支援につながるといわれています。

本調査はADHDの子どもを持つ母親の受診行動の現状や課題、学校内・外における支援の課題を明らかにする目的で実施致しました。

主な調査結果は下記の通りです。詳細は「調査結果のポイント」をご覧ください。

1. ADHD 児の母親の受診行動

 医療機関受診後、子どもがADHDと診断されることで、4割の母親が「子どもの将来が心配で落ち込んだ」と回答する一方、6割の母親は「症状の原因がはっきりしてほっとした」と回答。母親の半数以上は医療機関受診前に、保健・福祉の相談機関に相談していることが明らかになった。

  • 子どもの行動の原因が病気かもしれないと感じたきっかけが「周りからの指摘だった」と回答した母親は51.2%であった。(図1参照)
  • 「周りからの指摘だった」と回答した母親の中で、「保育園・幼稚園の担任」による指摘と回答したのは33.8%、「小学校の担任」による指摘と回答したのは27.6%であった。(図2参照)
  • 子どもが抱えている困難や行動の原因について母親が最初に思ったことは、「何らかの発達障害」(34.3%)、「子どもの性格」(31.8%)、「しつけや育て方」(23.0%)などであった。(図3参照)
  • 医療機関受診前の母親の気持ちは、「子どもの将来に影響の大きい病気だったらどうしようと不安」(37.8%)、「どこに相談すればよいか分からなかった」(32.2%)などであった。(図4参照)
  • 医療機関受診後、子どもがADHDと診断された際の気持ちについて、母親の59.7%は「症状の原因がはっきりしてほっとした」と回答。一方で41.7%は「子どもの将来が心配で落ち込んだ」と回答。(図5参照)
  • 医療機関受診後、子どもがADHDであることが分かった際の気持ちについて、母親の68.5%は「医療機関に行って良かった」と回答。(図6参照)
  • 医療機関受診前に保健・福祉の相談機関(市役所福祉課、家庭児童相談所、発達支援センターなど)に相談していた母親は75.6%。(図7参照)

2. 小学校でのADHDが疑われる児童への対応における課題

多くの小学校教師はADHDが疑われる児童を担当した経験があり、学校内での連携した対応は実施していたが、地域の保健・福祉・医療機関などの外部との連携はあまり行われていなかった。またADHDが疑われる児童への指導や対応に自信があると回答した小学校教師は4割であった。

  • 96.1%の小学校教師は、現在担当中も含めADHDが疑われる児童を担当した経験を持っていた。(図8参照)
  • ADHDが疑われる児童に対して、「校内委員会*2への報告・相談」、「特別支援教育コーディネーター*3への報告・相談」はそれぞれ74.7%、70.7%で実施されており、学校内での連携した対応は実施されていた。一方、「地域の保健・福祉・医療関係者への相談」は15.2%と外部との連携はあまり行われていなかった。(図9参照)
  • 「ADHDが疑われる児童」やその「保護者」に対し十分な取り組みを行えたと回答した割合は、それぞれ64.7%、60.6%であった。学校内の連携において十分な取り組みを行えたと回答した割合は、「教員同士の連携」(81.8%)、「校長・教頭との連携」(74.7%)、「養護教諭との連携」(73.8%)、「特別支援学級担任との連携」(70.7%)、「特別支援教育コーディネーター*3との連携」(68.6%)、「スクールカウンセラーとの連携」(47.5%)、であった。(図10参照)
    数値は「十分な取り組みが行えた」と「どちらかといえば十分な取り組みが行えた」の合計値
  • 「ADHDが疑われる児童への指導や対応」、「ADHDが疑われる児童の保護者への対応」に対し自信があると回答した割合は、いずれも42.7%であった。(図11参照)
    数値は「自信がある」と「どちらかといえば自信がある」の合計値

3. 保護者と小学校教師間のコミュニケーションの重要性

直近に担当したADHDが疑われる児童に対し、小学校教師の約3人に2人は、その保護者に保健・福祉・医療機関への相談・受診を勧めており、相談・受診を勧められた多くの人は実際に相談・受診を行っていたことが明らかとなった。一方、相談・受診を勧めなかった理由として最も多かったのは「当事者の保護者の理解が得られないと思ったから」であり、教師と保護者とのコミュニケーションの難しさが浮き彫りになった。

  • 直近に担当したADHDが疑われる児童に対し、小学校教師の67.3%はその保護者に、保健・福祉・医療機関の受診・相談を薦め、そのうち81.8%人は「相談」又は「受診」、ないしその両方を行なったと回答。(図12,13参照)
  • 相談・受診を薦めなかった理由としては、「当事者の保護者の理解が得られないと思ったから」(25.0%)、「治療の必要性はないと思ったから」(12.5%)、「どこを薦めれば良いか分からなかったから」(12.5%)、「当事者の保護者がコミュニケーションを望まなかったから」(12.5%)などが挙げられた。(図14参照)
  • ADHDが疑われる児童への十分な対応・指導のために重要だと思うことは、「病気の事をよく知る」(73.8%)、「学校全体のサポート」(69.9%)、「どのような学習上の配慮を行うべきかを知る」(68.9%)などであった。(図15参照)
  • ADHDが疑われる児童を指導していく上での重要な連携先として、98.1%の小学校教師が「保護者」と回答した。(図16参照)

4. 早期支援・受診の重要性

ADHD児の母親のほとんどは、子どもの小学校入学前までにADHDの情報について知ることが望ましいと思っている。またADHD児の母親は、子どもの教育のために、専門の医療機関を早く受診することが重要と思っている。

  • ADHD児の母親の96.8%は、小学校に入学する前までにADHDの情報について知ることが望ましいと回答。(図17参照)
  • ADHD児の教育のために必要な取り組みとして母親が重要と思う項目は、「医療機関を早く受診すること」(99.6%)、「担任(副担任)のサポート」(98.2%)、「家庭での配偶者や親族のサポート」(97.9%)であった。(図18参照)
    数値は「重要だと思う」と「やや重要だと思う」の合計値

本調査の監修者である、齊藤万比古先生(愛育クリニック愛育相談所所長)は次のように述べています。

「ADHDの社会における認知は段々と広まっており、ADHDの子どもを取り巻く環境も改善され治療の選択肢も広がりつつあります。そのため、可能な限り早期に保護者がお子さんの特性を認識し適切な支援を受けることで、お子さんが持つ本来の能力を発揮するための環境を整えることが重要です。しかし、現状ではADHDの診断を受けておらず、ご自身のお子さんの行動がADHDからくるものなのかそうでないか分からずに悩んでいる保護者の方も多くいらっしゃるのではないかと思います。ADHDの疑いのあるお子さんをお持ちの場合は、まず発達障害者支援センターや教育センター等の地域の相談機関に相談したり、また専門の医療機関を受診してお子さんの行動の原因を明らかにすることも大切だと思います。そして、それがお子さんの将来にとって重要な第一歩になるかもしれません。ADHDの子どもが能力を伸ばし、社会の中で成長していくためには、家庭、学校、地域の各種相談機関や医療機関との連携が重要であり、ADHDの子どもとその保護者を取り巻く関係者である、保育士、教師、医師、臨床心理士、ソーシャルワーカー等の専門家は長期的な視点に立って継続的な支援を続けていくことが求められています。」

以上

塩野義製薬株式会社について

塩野義製薬は、「創薬型製薬企業として社会とともに成長し続ける」ことを経営目標として掲げた中期経営計画SGS2020の中で、「個人が生き生きとした社会創り」を当社が取り組むべき社会課題の一つと認識し、「生きにくさ」から人々を解放し、個人の本来の能力を発揮して活躍していただくためのサポートを目指しています。その具現化に向けて大阪府との「子どもの未来支援」に関する事業連携(1/25の弊社リリース)など、様々な取り組みを行っております。塩野義製薬はこれらの活動を通して、患者さまの健康とQOLの改善に貢献してまいります。詳細はホームページをご覧ください。http://www.shionogi.co.jp

シャイアーについて

シャイアーは、希少疾患や特殊疾患の患者さんを専門とした、グローバルなバイオテクノロジーのリーディング・カンパニーです。血液、免疫、神経科、眼科、ライソゾーム病、消化器・内科・内分泌、遺伝性血管性浮腫(HAE)、そして、成長中の腫瘍領域フランチャイズにおいて、革新的な医薬品の開発に努めています。シャイアーの製品は、100ヶ国以上で提供されています。

世界中に多くいる、希少疾患・特殊疾患をもつ患者さんや、効果的な治療法がない患者さんが、より質の高い日常生活を過ごすことができるよう、革新的な医薬品を開発し提供するという使命のもと、シャイアーの社員は日々尽力しています。https://www.shire.co.jp/

 

調査結果のポイント

1. ADHD児の母親の受診行動

  • 子どもの行動の原因が病気かもしれないと感じたきっかけが「周りからの指摘だった」と回答した母親は51.2%であった。

  • 「周りからの指摘だった」と回答した母親の中で、「保育園・幼稚園の担任」による指摘と回答したのは33.8%、「小学校の担任」による指摘と回答したのは27.6%であった。

  • 子どもが抱えている困難や行動の原因について母親が最初に思ったことは、「何らかの発達障害」(34.3%)、「子どもの性格」(31.8%)、「しつけや育て方」(23.0%)などであった。

    ※当該選択肢を選択した場合、他の選択肢の選択はできない

  • 医療機関受診前の母親の気持ちは、「子どもの将来に影響の大きい病気だったらどうしようと不安」(37.8%)、「どこに相談すればよいか分からなかった」(32.2%)などであった。

    ※当該選択肢を選択した場合、他の選択肢の選択はできない

  • 医療機関受診後、子どもがADHDと診断された際の気持ちについて、母親の59.7%は「症状の原因がはっきりしてほっとした」と回答。一方で41.7%は「子どもの将来が心配で落ち込んだ」と回答。

  • 医療機関受診後、子どもがADHDであることが分かった際の気持ちについて、母親の68.5%は「医療機関に行って良かった」と回答。

  • 医療機関受診前に保健・福祉の相談機関(市役所福祉課、家庭児童相談所、発達支援センターなど)に相談していた母親は75.6%。

    ※当該選択肢を選択した場合、他の選択肢の選択はできない

2. 小学校でのADHD児対応における課題

  • 96.1%の小学校教師は、現在担当中も含めADHDが疑われる児童を担当した経験を持っていた。

  • ADHDが疑われる児童に対して、「校内委員会*2への報告・相談」、「特別支援教育コーディネーターへの報告・相談」はそれぞれ74.7%、70.7%で実施されており、学校内での連携した対応は実��されていた。一方、「地域の保健・福祉・医療関係者への相談」は15.2%と外部との連携はあまり行われていなかった。

    ※当該選択肢を選択した場合、他の選択肢の選択はできない

  • 「ADHDが疑われる児童」やその「保護者」に対し十分な取り組みを行えたと回答した割合は、それぞれ64.7%、60.6%であった。学校内の連携において十分な取り組みを行えたと回答した割合は、「教員同士の連携」(81.8%)、「校長・教頭との連携」(74.7%)、「養護教諭との連携」(73.8%)、「特別支援学級担任との連携」(70.7%)、「特別支援教育コーディネーターとの連携」(68.6%)、「スクールカウンセラーとの連携」(47.5%)、であった。

  • 「ADHDが疑われる児童への指導や対応」、「ADHDが疑われる児童の保護者への対応」に対し自信があると回答した割合は、いずれも42.7%であった。

3. 母親と小学校教師間のコミュニケーションの重要性

  • 直近に担当したADHDが疑われる児童に対し、小学校教師の67.3%はその保護者に、保健・福祉・医療機関の受診・相談を薦め、そのうち81.8%人は「相談」又は「受診」、ないしその両方を行なったと回答。

    ※当該選択肢を選択した場合、他の選択肢の選択はできない

  • 相談・受診を薦めなかった理由としては、「当事者の保護者の理解が得られないと思ったから」(25.0%)、「治療の必要性はないと思ったから」(12.5%)、「どこを薦めれば良いか分からなかったから」(12.5%)、「当事者の保護者がコミュニケーションを望まなかったから」(12.5%)などが挙げられた。

  • ADHDが疑われる児童への十分な対応・指導のために重要だと思うことは、「病気の事をよく知る」(73.8%)、「学校全体のサポート」(69.9%)、「どのような学習上の配慮を行うべきかを知る」(68.9%)などであった。

  • ADHDが疑われる児童を指導していく上での重要な連携先として、98.1%の小学校教師が「保護者」と回答した。

4. 早期の情報入手の重要性

  • ADHD児の母親の96.8%は、小学校に入学する前までにADHDの情報について知ることが望ましいと回答。

  • ADHD児の教育のために必要な取り組みとして母親が重要と思う項目は、「医療機関を早く受診すること」(99.6%)、「担任(副担任)のサポート」(98.2%)、「家庭での配偶者や親族のサポート」(97.9%)であった。

調査概要

調査期間:母親 2016年12月1日~5日

教師 2016年11月25日~26日

調査対象:母親 サンプル数 283名

小学校教師 サンプル数103名

調査手法:インターネットリサーチ (実施機関:株式会社マクロミル)

調査監修:齊藤万比古先生(愛育クリニック愛育相談所所長)

注釈

*1:Am J Psychiatry 2007; 164:942–948

*2 校内委員会:各学校において、発達障害を含む障害のある幼児児童生徒の実態把握や支援方策の検討等を行うため、校内に設置される特別支援教育に関する委員会。委員会は、校長、教頭、特別支援教育コーディネーター、教務主任、生徒指導主事、通級指導教室担当教員、特別支援学級教員、養護教諭、対象の幼児児童生徒の学級担任、学年主任、その他必要と思われる者などで構成される [文部科学省通知「特別支援教育の推進について」(平成19年4月1日発,19文科初第125号)より]。

*3 特別支援教育コーディネーター:各学校における特別支援教育の推進のため、主に、校内委員会・校内研修の企画・運営、関係諸機関・学校との連絡・調整、保護者からの相談窓口などの役割を担う[文部科学省通知「特別支援教育の推進について」(平成19年4月1日発,19文科初第125号)より]。

プレス・リリースのダウンロードはこちら.

JAP/C-ANPROM/INT/17/0015

クッキーの使用に関する通知

このサイトでは利用者の方々に即応的で、個々のニーズに合わせたサービスを提供するためにクッキーを使用しています。このサイトを利用することにより、利用者は弊社のクッキーの通知に表示されている通り、弊社のクッキーの使用に同意することになります。弊社が使用するクッキーについての詳細と、クッキーの使用を削除またはブロックする方法については、プライバシー ポリシーとクッキー をお読みください。詳細はこちらをご覧ください。 詳細を見てみましょう